USDmの価格安定性
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Marsエコシステムのメカニズムとユーザーの市場行動の統合によりUSDmの価格安定性が確保されています。
USDm価格が > $1以上の時:
裁定取引によりMars Treasuryのホワイトリストに掲載されている資産(BTCなど)を1ドル分使用して、$1USDmを鋳造し、そのまま市場で売却する事で利益を得ることができます。この取引により、USDmの市場価格は1ドルへと引き戻されます。
USDm 価格が < $1以下の時:
裁定取引により、市場で$1USDmを$1USD以下で購入し、そのままMars Treasuaryにて換金する事で$1USDm相当のXMSを手に入れることができます。償還されたXMSは、市場で売却して利益を得ることができます。XMSが市場で十分な流動性を維持する限り、この裁定取引によってUSDmの市場価格は1ドルに引き戻されます。
XMSの十分な市場流動性は、以下のメカニズムによって保証されています:
✔ 鋳造管理メカニズム. XMSのサポートレシオは、時価総額比でUSDmの2.5倍以上に設定されるため、例えばUSDmが一斉にXMSに換金された場合でも、XMSの時価総額比では40%(1/2.5)に収まります。更に、将来的にサポートレシオは徐々に上昇していく見通しですので、上記40%の比率はさらに低下していきます。
✔ Mars Tresuaryによる流動性の提供. この主な目的は、Marsエコシステム内に資産を留めることで、USDMに対して十分な流動性を提供することにあります。また、同時にXMSに対しても流動性を提供する為、XMSも同様の支援効果を得ることになります。
鋳造と償還の非対称性によって保証されるBANK-RUN(取付け騒動)防止メカニズム
ステイブルコインのプロトコルは、通常の市場変動の範囲内だけでなく、いわゆるデス・スパイラル(死の循環)にも対応できる必要があります。デススパイラルとは、一般的に、短期間にステイブルコインが大規模に売られ、コイン価格が1ドルを大きく下回り、ゼロになるまで下落し続けることを指します。デススパイラルの原因は、プロトコルに対する信頼が揺るぎ、市場価格が1ドルに戻るという確証をユーザーに与えることができない状態を指します。
Mars Ecosystemでは、以下の仕組みによりデス・スパイラルが起こらないことを保証します:
1 鋳造コントロールメカニズム
2 鋳造と償還の非対称性が保証するBank-Run(取り付け騒動)防止メカニズム
鋳造と償還の非対称性とは、ユーザーはUSDmを鋳造する際にMars Treasuryのホワイトリストにある資産を担保として提供しますが、USDmを償還する際には提供した担保資産ではなくXMSを受け取ることを意味します。つまり、鋳造時と償還時の資産が異なる非対称になっていることで、他のプロトコルに見られるような典型的なBank-Run(取付け騒動)を防ぐことができます。
Fraxや他のステイブル・プロトコルのような対称的なデザインの場合、bank-Runを引き起こす可能性があります。この問題をゲーム理論的に考えた場合、ステイブルをできるだけ早く償還する方が、すべてのユーザーにとって最適な戦略となってしまう為です。
鋳造コントロール・メカニズムにより、XMSの時価総額はUSDmの時価総額に対して2.5倍になるように設定されています。これにより、XMSの価格が50%下落しても、その十分な時価総額によりUSDmの全額を保証することが可能になります。また例え、XMSの価格が下落し、デス・スパイラルに陥った場合でも、XMSの時価の2.5倍という大きなサポートがあれば、ユーザーはUSDmの安定性に自信を持つことができます。
Mars Ecosystemの非対称的なデザインの場合、急いでステイブルコインを償還することは、最適な戦略ではありません。早い段階でUSDmを換金する方が、遅れて換金するよりも、XMSを売却する際の流動性は高くなりますが、その分、Mars Swapでの取引の際スリッページロスの負担が発生する為です。そして、Mars TreasuryはXMSの循環供給元である為、このスリッページ・ロスはMars Treasuryに取り込まれる結果、Treasury資産の価値とユーザーが保有するUSDmの価値が上昇し、償還が遅れたユーザーやそもそも償還をしないユーザーは、後になればなるほど、より価値を上げたUSDmと交換することが可能になります。このようなBank-Run(取り付け騒動)防止メカニズムにより、市場が極度に混乱をしている場合でもプロトコルの崩壊を防ぐことができます。